大人になるということは、何でもできるようになることではなく、何でもできるわけではないということを、受け入れられるようになることである。
しかし、大人になることの意味を誤って解釈し、現実の自分と向き合うことができていない。
人は、自分にとって大切な対象を失うときに嘆き悲しむとともに、失ったという事実をしっかり認識することによって、そこから抜け出す糸口をみつけていくものである。
しかし、それができていない。
現代の日本社会では、身近な人の死に遭遇する機会が減った。
人は、死との遭遇により苦しみ悲しみ喪失感を覚えるとともに、それを乗り越え、仕方のないことを身をもって受け容れる。
そして、伝統的な社会の下で、人々は規範やしきたりなどの制約によって縛られ、人生は思い通りいかないことを子供のころから身をもって学んできた。
しかし、核家族化や地域のコミュニティーでの人間関係の衰退により、外部の規範から解放された。
そして、その代償として自己責任がのしかかり、失敗すれば向き合うのは自分自身という社会になってしまった。
いま、ここを過去の必然として、失ったもの、失敗したことから目をそらさないで、真正面から受け容れることが求められている。 ”これから”という言葉をつぶやくために、・・・。
(一億総ガキ社会 「成熟拒否」という病 片田珠美著 より抽出・編集)
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